皆様には、日頃より愛媛アイバンクの事業活動に深いご理解とあたたかいご支援を賜り、心より御礼申し上げます。令和6年6月より、愛媛アイバンク理事長を務めております山口昌彦です。現在は愛媛県立中央病院眼科で診療を行っております。
愛媛アイバンクは、愛媛県内のライオンズクラブと眼科医が中心となって、昭和61年4月に財団法人として設立され、同年5月には厚生大臣より眼球提供あっせん業の許可を受け、県内における角膜移植のために献眼登録および眼球斡旋を行ってまいりました。平成24年には公益財団法人へと移行し、来年には設立40年の節目を迎えます。これまでの歴代理事長として、初代理事長・梶ヶ谷保一先生、第2代理事長・幸塚悠一先生、第3代理事長・別所建夫先生、そして平成18年6月から19年間にわたり理事長を務められた第4代理事長・岡本茂樹先生がいらっしゃいます。その後を引き継ぎ、現在、私が理事長を務めております。
愛媛アイバンクは、この39年間で延べ15,993人の方に献眼登録をしていただき、延べ293人から実際にご提供をいただきました。これにより、計482眼が角膜移植のために斡旋・提供され、愛媛県における角膜移植医療の発展を支えてまいりました。とりわけ、愛媛大学医学部眼科には中四国全域から多くの角膜移植患者が受診しており、移植件数の増加に対応するため、アイバンク業務の見直しや改善を重ねてきました。中でも、専任のアイバンクコーディネーター制度の創設は大きな転機となり、献眼数の増加にもつながっています。令和6年度には、14名の方から計23眼の献眼をいただき、23名の患者さんが県内で角膜移植を受けることができました。
しかしながら、献眼数はいまだ十分とは言えず、他県からのあっせんに依存する状況が続いています。「愛媛の角膜は愛媛から」という理念のもと、県内で必要な角膜を自給できる体制の構築に向けて、今後も愛媛アイバンクの果たすべき役割はますます重要になると感じております。
また、かつての「愛媛腎臓バンク」が改組された「えひめ臓器移植推進財団」や、県立衛生環境研究所に設置されている「愛媛県臓器移植支援センター」に配置された臓器移植コーディネーターとの連携も、今後さらに強化していく必要があると考えています。
ドナーご家族の思いに触れるたびに、生前のドナーの意思を届けることに加え、ご家族に眼球提供という選択肢をご提示することは、尊厳ある最期を迎える手助けとなるだけでなく、ときに深い悲しみの中にあるご家族にとって、心の支えや救いとなることもあります。亡くなった後の意思が、新たな視力をつなぐ希望となる―― そうしたつながりが、移植を受けた方々の生活を支え、ご家族や社会にとっても大きな意味を持つものと感じております。
今後とも、献眼という尊い行いに対し、引き続き温かいご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
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代表理事 山口 昌彦 |
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